市立小諸図書館友の会の会員らが、

若くして戦死した、

諸出身の彫刻家 小林貞吾について

調査研究しまとめた冊子を

刊行しました。

その内容と、冊子刊行への思いを

取材しました。

 

諸にある「小林貞吾記念館」。

若くして才能を発揮し、活躍しながらも、

30歳の若さで戦死した、

諸出身の彫刻家、

小林貞吾の作品を収蔵した記念館です。

館内には貞吾の幼少期から

戦地に赴くまでの間制作した作品が

所狭しと展示されています。

 

昭和57年、

遺族らが貞吾の作品を収蔵し、

多くの人に見てもらおうと、

この記念館を開設しました。

現在は甥の小林太喜男さんが

館長として作品を守っています。

 

市内に住む、市川強さんと土屋政紀さんは

図書館の活動の輪を広げようと、

市民有志で発足した、

市立小諸図書館友の会の会員です。

友の会には様々な部会があり、

2人はその中の「アーカイブ部会」に所属。

まだ文字になっていないものを

図書館の資料にできるようにと

活動しています。

 

その取り組みの一環として、

「彫刻家 小林貞吾」を取り上げ、

「彫刻家 小林貞吾―戦禍に断たれた彫刻への道―」として

1冊の冊子にまとめました。

 

 

土屋さん

「図書館に収蔵される資料を充実したい。

郷土の関係、小諸のことを

資料を充実していきたいということで、

小諸のことを調べてそれを冊子にしたり、

インターネット上に載せて

誰でも見られるようにしよう

ということから始まりました。

それでウィキペディアの学習会を

そのアーカイブ部会でやって、

ウィキペディア

タウンというんですかね、

フィールドワークで

まず手始めに諸をやろうという

ことで、

小林貞吾記念館、

弁天の清水大室神社、

清水の駅跡ですか、

そこを地元の人の案内で

回ってやったというのが1回。

それがきっかけになりました。」

 

市川さん

「そのアーカイブ部会で

諸地区を歩いた時に最初に

この小林貞吾記念館を

訪れたんですけれど、

その時私も小林貞吾に関して

全く素人、知らなかったんですね。

この会館に入って、

作品展も素晴らしく

力強い作品がたくさんあったりして、

そこでまた館長から

幼少のころからの生い立ちをお聞きして

これを録音させいただきまして、

私も聞き書きをやっていましたから、

血が騒ぐというか、

書きおこしをさせていただいて、

それでこんな形でまとめましたと

館長に提出させていただいたのが

きっかけなんですけどね。」

 

冊子には、記念館を訪ね、

館長の小林太喜男さんから聞き取った

小林貞吾の生涯についてまとめた記事や、

小林館長から借りた

当時の信濃毎日新聞の記事、作品写真集、

そして、小林貞吾遺文集などの資料を掲載。

貞吾がどんな人物だったのか、

どんな作品を遺したのか、

そして遺族の思いなどが

つぶさにわかる内容となっています。

 

市川さん

「この記念館を作られたのが

お兄さん重雄さん。

太喜男さんとご一緒に。

重雄さんが私は職業軍人で

本来であれば海の藻屑になって

帰ってこられないはずなのが、

逆に貞吾が亡くなって

帰ってくることができなかった。という

話を聞いたのが印象的だった

そういう経緯を聞いてそうすると

この作品の重みも変わってくるしというと

ころがあって、

書き進めたいなと思ったんですよね。」

 

 

太喜男さんにお話しいただいたので、

出来るだけ聞き書きと

同じような形で

まとめさせていただいたのと、

太喜男さんから

当時の信毎の記事の写しが

たくさん保存されてありましたので、

それが作品ごとに記事があるんですよね。

それを作品集のところで、

作品紹介として載せさせていただいたり、

写真データをCDでいただいたり。

あとは「さんろく」にあった

散文というかエッセイですね。

そういった遺文集が

ありましたので

それぞあわせてまとめる

ということをやっていったら、

三部形式がいいかなと思いついて、

まとめました。」

 

冊子は小林太喜男館長の協力で

100冊を刊行。

関係機関などに寄贈したほか、

記念館を訪れた人たちに

頒布するなどして活用されています。

小林館長は、冊子を通じて

多くの人に「彫刻家・小林貞吾」を

知ってもらいたいと話します。

 

小林館長

「こんな立派なものになるとは

私も思っていなかったのですが、

進めていくうちに

だんだん市川さんも

私のところにある資料をお見せしたら、

ぜひ載せていきたいという話がありましたから、

お願いしたんですけどね。

おかげさまで、

これはずっと私の知っている人たちにも

知ってもらって、

できればある程度流布をして

いただければいいかな

と思っていますけどね。

ここにこういったものが建物があるよと、

建物の中には貞吾の魂が宿った作品があるよ

ということを知っていただいて、

基本的に、貞吾が水明小学校を

卒業していますので、

小学校の通学区の中に

貞吾がいたということを

子どもさん方にも知っていただいて、

貞吾が彫刻を始めたのも

小学校の頃からですから

そういう部分というのは

才能のあるみなさんには見ていただいて、

その道に進んでいただければ

この上ないことですけどね。」

 

今回、郷土が育んだ彫刻家「小林貞吾」の生涯について

1冊の冊子にまとめた市川さんと土屋さん。

今後に向けては―。

 

市川さん

「こういう形でたくさんの話を聞いて

載せられたということが

とても良かったなと思っています。

貞吾さん自身は

みなさん知らない方が多いと思いますので、

知っていただいて、

こういった作品が

いつまでも散逸することなく

いてほしいなと思います。」

 

土屋さん

「本当にね、いろんな人のつながりで

こういう形になったというのは嬉しいですね。

だからこれをきっかけに

小諸のことをもっと取材をして、

小諸のストーリーを形にして

残していきたいなと。

コミュニティテレビさんの

E3探検隊と歩調を同じにして

やっていけたらいいなと思っております。」

 

小諸図書館友の会アーカイブ部がまとめた

「彫刻家 小林貞吾―戦禍に断たれた彫刻への道―」は

小諸図書館でも読むことができます。

小諸図書館では来年度、小林貞吾の作品の出張展示を

計画しているということです。