動物画家として多くの作品を残してきた、

薮内正幸さんの動物絵本原画展が

現在小諸高原美術館・白鳥映雪館で開かれています。

これに合わせ、17日(土)には、

薮内さんの原画にまつわるギャラリートークが行われました。

 

薮内正幸さんは

動物画家として、

図鑑、絵本、広告など幅広い分野で活躍。

2000年に60歳で亡くなりました。

動物への温かなまなざしで、

骨格から、毛並み、筋肉まで

詳細に描かれた作品は、

今もなお、多くの人に親しまれています。

 

山梨県北杜市にある薮内正幸美術館には、

薮内さんが描いた1万点以上の原画が

管理、収蔵、展示されていて、

全国各地で原画展も開かれています。

 

今回の原画展は、

詳細に描かれた動物の姿に触れてもらい、

楽しんでもらう機会にしようと企画されました。

 

会場には、薮内さんが描いた

ペン画や水彩画など原画88点を展示。

 

薮内さんの代表作「動物のおかあさん」や「しっぽのはたらき」、

「ガンバの冒険シリーズ」などの原画を始め、

カレンダーや広告に用いられてきた作品、

更には薮内さんが

小学生や高校生時代に描いたスケッチなども並びます。

 

カメラに頼らず自らの目でしっかり観察して描いたという

作品の数々。

薮内さんの動物に対する温かなまなざしが感じられます。

 

原画展開催中の17日(土)には

薮内正幸美術館の館長で、薮内正幸さんの息子、

薮内竜太さんによるギャラリートークが行われました。

 

薮内館長は、「好きこそものの上手なれ」と題し、

父親で動物画家である薮内正幸さんの

「画家」としての生き方ついて講演。

 

「全く絵に関しては習ったことがない人間です、完全な独学。

学校終わって絵画教室に行ったこともなければ

高校で美術部にいたわけでもない。

高校卒業してそのまま出版社に入っていますので、

専門学校に行ったわけでもない。完全な独学だということと。

これだけの動物の写真をどうやって集めたんだ。

とよく言われますけれども、実は描いた絵、

元のポーズとなった資料、写真、そういったものはありません。

絵は全く習ったことがない。

更に描いた絵の元になった写真はない。

何も見ないで描いている。」

 

生涯、絵を習ったことはなかったという薮内正幸さんですが、

子どもの頃から生き物が好きで、絵を描き続けた結果、

動物画家と言う道に進んだと言います。

 

薮内館長は、父親、正幸さんが、動物園に通いつめ、

何枚もの絵を描いていた子ども時代のことや、

動物画家になるきっかけとなった出会い、

それに、画家として歩み始めた人生について

様々なエピソードを交えながら紹介。

動物画家「薮内正幸」の生き方とその人物像について

こう話しました。

 

「物食べながらも起きている間はとにかく絵を描き続けた。

お風呂入っている間などしか描いていない。常に描きつづけた。

更に晩年、フリーでやっているからいつも締切に追われている。

家でやっているから終わりがない。

休憩のときにもその辺の紙に好きな鷲の絵を2、3枚描いて、

じゃあ仕事するかとまた鳥の絵を描くんです。

大人になってからもその数ですから

そりゃそれだけ描けばだれだって上手になるだろうとしか言えないんです。

だけどふつうはそれだけの数は描けないんです。

それだけ時間使うことはできないんですよね。

だから、あえて絵描きとして天才と思えないけれども、

天才というなら天才的に動物が好きだった人間だと思います。

その好きな動物をきれいに描きたい。

その一心ですよね。」

 

薮内館長はこのように話し、父、正幸さんについて、

「好きこそものの上手なれを地で行っていた。

何か好きなことを見つけたら

時間をかけてやってみてほしい。」などと

呼びかけていました。

 

この日はおよそ30人が訪れ、

薮内正幸さんの原画に囲まれた会場で、

講演に聴き入っていました。

「薮内正幸の世界」と題した「動物絵本原画展」は、

来月5日(水)まで、

小諸高原美術館・白鳥映雪館で開かれています。