県内の消防救助隊が

一堂に会して、様々な競技で救助技術を競う

「長野県消防救助技術大会」が

18日(土)、長野県消防学校で開かれました。

「障害突破」という種目で県優勝を目指した

小諸消防署訓練隊の挑戦を追いました。

 

日々訓練を重ね、地域の安全を守る

県内の消防救助隊・訓練隊が一堂に会して、

様々な競技で救助技術を競う「消防救助技術大会」。

陸上と水上あわせて7つの種目が行われ

県内の全13の消防本部から集まった隊員らが

磨かれた技を競います。

 

その中でも、小諸消防署が挑むのは、

救助の花形、「障害突破」。

災害現場を想定し、5人一組で5つの障害を突破するという

難易度の高い複合競技です。

小諸消防署障害突破訓練隊はこの競技で

過去に4度、関東大会に出場している、

県内でも強豪チームです。

 

競技開始前。

待機場所の体育館には、

最終調整を行う

小諸消防署の訓練隊の姿がありました。

 

篠原隊長

「ここまで2か月間訓練を通してきて、

その成果が十分に発揮できればというのと

隊員が悔いのないようにやってもらえればという大きな思いですね。

もっと緊張するかなと思ったんですけど、

顔つき見てると自分の方が緊張しているのかなというところもあったりして、

自信に満ち溢れているような心境じゃないかなと思います。」

 

小諸消防署には、「レスキュー専門」のチームはありません。

そのため、毎年、大会用の「訓練隊」を結成し、

大会に臨んでいます。

 

チームの指揮を執るのは、

3年前に副隊長として、

関東大会出場を経験している篠原拓也さん。

ことし、新たに隊長に就任し、隊員たちをまとめ、

引っ張ってきました。

 

去年隊長を務めた白木直宏さんは、

ことし、隊長のサポートに回りました。

隊長を支え、隊員たちを励ましながら

チームを盛り立てています。

 

競技に出場するメンバーの中で関東大会出場経験があるのは

この2人。

宮坂瑛二さん、渡邊直貴さんです。

小諸消防署での訓練隊としての経験も豊富です。

 

宮坂さん

「いよいよ県大会本番ということで、緊張もあるんですけど、

緊張している自分に勝って勝利をつかみたいなと思います。」

 

渡邊さん

「体調も万全で朝一本やってきていいタイム出せたので、

この調子で本番に臨みたいと思います。」

 

更に、去年から訓練隊員として活躍している

掛川真樹さんと甘利迪也さん。

ことし新たに加わった中山諒亮さん。

そしてサポート隊員中村優さんも加えて、

ワンチームで訓練に励んできました。

チームワークも抜群です。

 

中山さん

「順調に仕上がっているので出せる力出せば県大会突破できるので頑張ります。

この雰囲気をいい緊張感にして上がりすぎずやりたいと思います。」

 

全員春の選考会で選ばれた精鋭たち。

去年は新型コロナの影響で関東大会が中止となりましたが、

県大会では2位となり、

本来なら上位2チームに与えられる

関東大会出場を果たしていたはずの

小諸消防署訓練隊。

 

目標は県大会で優勝し、関東大会へ。

大会会場での事前訓練では

トップのタイムを打ち出していることもあり、

隊員たちも自信をつけてきました。

念入りに準備、調整を行い、

いよいよ迫った本番に向けて気持ちを引き締めます。

 

掛川さん

「いよいよ本番が来たので、あとは今までやるだけのことはやってきたので、

その成果を出すだけなので思いっきり全員でやり切っていきたいと思います。

緊張、本番はすると思うんですけど、

うまく緊張を利用して集中してやりたいと思います。」

 

甘利さん

「この2か月やってきたことを本番で出すだけなので、

訓練でやっていないことはできないと思いますので、

緊張せずできればと思います。」

 

競技まで2時間を切りました。

まもなく、隊員たちに招集がかかります。

 

隊列をなして、待機場所へと向かいます。

共に2か月歩んできた篠原隊長が言葉をかけて送り出します。

 

篠原隊長

「緊張感は保ちつついい表情で迎えられていると思います。

やっぱり自分も選手で送り出してもらって

声をかけてもらうと気合が入るというのがあるので、

それには気を付けてしっかりできるように最後送りだしました。

あとは選手たちの、チームの能力というか実力が出ると思いますので、

僕たちは見守っていい成果が出るのを待つのみとなります。」

 

待機場所では、

服装や道具の点検を受けた隊員たちが

自分たちのペースで気持ちを整えます。

 

いよいよ「障害突破」競技がスタートしました。

5チーム中、小諸消防署訓練隊は4番目です。

前半3チームの競技が終了。

佐久広域連合の名前が呼ばれ、隊員たちがスタンバイです。

 

篠原隊長を始め、

土屋勉署長ら小諸消防署の署員、

佐久広域の他の消防署の署員たちも声援を送ります。

 

そして本番へ。

小諸消防署訓練隊の隊員らの名前が呼ばれ、

競技がスタートしました。

 

ひとつめの障害、高い塀を乗り越えるところは…

難なくクリアです。

次ははしごをのぼっていきます。

 

ロープもしっかりと張り、隊員らはスムーズに渡っていきます。

 

ここまで来れば終盤です。

ボンベを背負って、細い通路の中へと向かいます。

 

ラストは、ロープをまとめて・・・

通常はスムーズに行っていたこの場面でいつもの様子と違う

隊員たち。

ロープを巻き込む際のミスがあり、最後は失速してしまいます。

 

全てを終えた隊員たちに、見守っていた応援団も

拍手を送りその健闘を称えました。

 

篠原隊長

「やっぱ最後の方が緊張もあって動きは

あんまりよくなかったのですが、

選手たちはやりきって全力でできたと思います。

今のところ2位というタイムであとは1チーム待って、

審査の結果ですね、減点とかの審査の兼ね合いで決まると思います。」

 

ミスを悔やんでか、肩を落として歩く隊員たち。

そんな隊員たちに土屋署長も励ましの言葉をかけます。

 

5チームの競技を終えて。あとは結果を待つばかり。

チームのキャプテンを務めてきた宮坂隊員は

言葉に悔しさをにじませます。

 

宮坂さん

「ちょっとやっぱりミスがあったので、

その分は悔しいなというのが残っていますね。

全員でここまで4月からやってきましたけど、

全部終えてその部分ではいかがでしょう。

そうですね。ワンチームでやり切れました。

あとは結果を待つのみですね。

まだ結果が出るまでわからないですけど、

いや悔しいですね。ミスがったので悔しいです。」

 

全チームの競技が終わり、いよいよ結果が張り出されます。

結果を確認した隊員たちは静かにその場を後にします。

小諸消防署は減点が響いて入賞ならず。

目標だった県大会突破はなりませんでした。

 

目標には届かなかったものの、2か月間全力で取り組み、

大会で精一杯やりとげた隊員たちへ、

篠原隊長がねぎらいの言葉を投げかけました。

 

篠原隊長

「2か月という間訓練をやってきて

隊員の士気も上がってきて大会に臨んだんですけれども、

結果は県大会突破できない結果だったんですけれども

隊員たちのやってきたことは必ず自分たちの力になっていると思いますし、

大会もそうですけど、現場はやっぱり同じ現場はないですし、

人が見ていたりとかいろんなプレッシャーがあって

やはりそれを一回で必ずやらなければならないというところに通じますので、

隊員たちもきょう1日、精一杯頑張れたと思います。

やはりこの大会に出るという経験も

かなり消防職員である中で糧になっていると思います。

今年度は県大会は突破できなかったんですけど、

来年に向けて訓練を行って現場の訓練も同様に行って、

住民の方々素早く助けたりとか救急で

素早く現場活動ができるように精進していきたいと思います。」

 

厳しい選考を勝ち抜き、小諸消防署訓練隊として、

2か月に及ぶ厳しい訓練を続けてきた隊員たち。

思う結果にならなくとも、

そこで得たチームワークと技術力、精神力は

何物にも代えがたいものになったはずです。

悔しさもバネに。

どんな現場でも対応できる消防職員を目指して。

これからも若き精鋭たちは走り続けます。