ことしで27回目となる「小諸・藤村文学賞」の表彰式が

藤村忌前日の21日(土)、

小諸市役所で行われました。

 

「小諸・藤村文学賞」は、

小諸ゆかりの文豪、島崎藤村の生誕120年、

没後50年の年である平成4年に

創設されたものです。

 

募集対象はエッセイ。

27回目の開催となることしは、

国内外から1899作品が寄せられました。

 

新型コロナウイルス感染防止対策として、去年同様

Web会議ツールZoomを使用し、

オンライン形式で表彰式を開催。

選考委員の4人と入賞者24人のうち15人が

オンラインで出席しました。

 

一般の部、最優秀賞に選ばれたのは、

愛知県新城市在住

菅沼博子さんの作品

「認知症の母が詠んだ俳句」。

 

この作品は、認知症を患った作者の母が、

亡くなる前に書いた俳句をもとに、

母の面影を追った作品です。

 

菅沼さん

「母の一生が報われた、そんな一日だったと思います。

結婚して4年ですぐ未亡人になって、

それから働き続けて子どもを育て上げた人ですので、

ひたすら強い人でした。心地よいような人ではなかったです。

だけど、その強さが、

今になってじわじわじわじわ私に効いてきているのかなという思いです。

私が認知症の母を信じることが出来なかったことを、

とても後悔しています。

認知症の人を看る時に、その人にはまだ残っているものがあると、

信じる気持ちを強く持って接すれば、

自然に優しさが出てくるということを、

そのことをこれから機会あるごとに言いたいなと思っています。」

 

高校生の部、最優秀賞に選ばれたのは、

埼玉県さいたま市在住

岡野屋丈さんの作品

「糸が紡いだ旅立ち」。

 

この作品は、病気を患った転校生のために

何かできることはないかと筆者とクラスメイト達が

奮闘する作品です。

 

岡野屋さん

「大変名誉な賞をいただけて、

最初の連絡は電話での連絡だったんですけど、

もうなんか、聞き間違えたんじゃないかなと思うくらい、

びっくりしてしまいましたね。

中学生の僕にとって、あまり身体障害者みたいな方と

触れ合う機会ってあまりなかったんですね。

なので、自分の中で、こういう人もいるんだなって言うふうに

世界を広げてくれる存在だったなって、

今になって感じることでありますね。

本人に、このエッセーを書くときに、

久しぶりに話を聞いてみて、結構変わりなくて、

お互いに当時のことで話が弾んだりしましたね。

書いた時より、3年前のことだったんで、

思い出すことも多かったですし、

ちゃんと言葉にすると、すごいあの時の気持ちとかが、

ありありと浮かび上がってきて、

言葉って時間とかを選ばないものなんだなということは、

書きながら感じましたね。」

 

中学生の部、最優秀賞に選ばれたのは、

岡山県倉敷市在住

山根幸朋さんの作品

「うどんはぼくの人生だ」です。

 

これは筆者が長年通いつめてきたうどん屋さんと

店員のおばさんとの交流の思い出をつづり、

うどんと共に歩んできた人生を

振り返る作品です。

 

山根さん

「うどんがどれだけ好きだったのかとか、

そのおばさんへの感謝とかはすごく、改めて感じました。

いま自分はそのおばさんの名前を知らなくて、

今どこにいるのかも知らないんですけど、

そのうどん屋さんのもとになったもう一個のお店に行って、

今回、受賞作品の本をおばさんに渡してほしいっていうので、

そこに行って渡してもらえることになったので、

そこでまた何か、交流が出来ればなと思っています。

自分を心身ともに成長させてもらったものなので、

うどんは食べ物だけど、うどんに感謝しています。」

 

入賞者24人の作品をまとめた作品集は

市役所にて一冊千円で販売。

また小諸図書館をはじめ、全国の図書館などに配布され、

自由に閲覧できるということです。