29日(土)、平原区の公民館では、
市の重要無形文化財にも指定されている、
二十五菩薩来迎会の面出し祭典が行われました。
平原区に伝わる二十五菩薩来迎会は、
阿弥陀如来はじめ25の菩薩が
娑婆の世界に降りて死者を救い、
極楽浄土へ導く様子を舞と念仏で表しているものです。
時宗の開祖である一遍上人の踊り念仏が起源だと
言われています。
この来迎会に使われる面の中には
鎌倉時代から室町時代初期の作品が残っており、
美術的にも大変貴重です。
平原区の来迎会では、後継者不足などを理由に、
もう何年も菩薩と面の前で和讃を唱えるのみとしてきましたが、
地域の伝統を後世に継承していこうと
去年から舞の一部の披露を再開しました。
今年披露された舞は、「行者の救い上げ」です。
これは、娑婆の世界の行者が
菩薩の来迎を受けて浄土に昇る様子を表現したものです。
ゆったりと体をくねらせる舞は平原区に伝わる独自のもので、
菩薩が天下るさまを現しています。
舞手はかつて、未婚の男子が務めていましたが、
現在は人出不足のため、区の中学生や高校生の男子の他、
二十五菩薩来迎会保存会のメンバーも参加しています。
会場を訪れた人たちは、
鎌倉時代からおよそ700年の歴史を持つ独特の雰囲気や
伝統の舞に、すっかり引き込まれた様子でした。