今年4月1日から、障害者法定雇用率が1.8%から2%に引き上げられ、
より一層の障がい者の雇用の促進が求められている中、
12日(木)障がい者の雇用を考えるワークショップが、小諸養護学校で行われました。
ワークショップには、小諸や佐久などで、実際に障がい者を雇用している企業を始め、
障がい者の雇用を考えている企業の他、養護学校の教諭やハローワークの担当者など
およそ30人が参加しました。
このワークショップは、佐久地方事務所の商工観光課の主催で開かれたものです。
これまでも企業を対象に、養護学校の見学などは行われていましたが、
今年4月1日から、障害者法定雇用率が1・8%から2%に引き上げられたことから、
障がい者の雇用に対して一層の理解を深めようと、実際に職場で働いている障がい者も参加し、
意見交換などを行うワークショップ形式で開かれました。
障がい者の雇用については、法律で、事業主に対し、雇用する労働者に占める、
身体障がい者、知的障がい者の割合が、一定率以上になるように義務付けられています。
4月の法定雇用率の変更により、障がい者を雇用しなければならない事業主の範囲も、
これまでの従業員56人以上から50人以上に変更となっています。
障がい者の雇用状況で見ると、達成率は長野県全体で60.9%で、
全国平均よりは高い割合ですが、なかなか雇用に結びついていない現状があります。
産業別では、製造業が最も多く、生活関連サービス業や福祉関係が増えてきています。
この日はワークショップを前に、小諸養護学校高等部の生徒たちの作業学習の見学が行われました。
生徒たちは日頃から、卒業後の社会参加に向けて、棚や椅子などの木工製品の製作や、
皿やマグカップなど陶芸品の製作などの作業学習を行っています。
参加した企業の担当者らは、黙々と懸命に働く生徒たちの姿を、関心した様子で見て回っていました。
続いて、3つのグループに分かれて、意見交換などを行うワークショップが行われました。
ワークショップには、小諸養護学校を卒業し、実際に企業で働いている障がい者と、
その企業の担当者3組が、それぞれのグループに入り、雇用に至るまでの経緯や、
実際に働き出してからの状況などについて、説明を行いました。
そのうち、上田市に本社のある日信工業株式会社東部工場で働く小諸養護学校の卒業生は、
学校側からの推薦で、高校2年生の時から、インターンシップを行い、一昨年、卒業後すぐに就職しました。
日信工業の担当者は、「実習の際、自力で通勤できるか、遅刻しないか。と言う所でまず見極めた。」と
話し、「面接で本人が自分のことを堂々と言えていたことが、採用の決め手となった」などと
説明していました。
その上で、卒業生は、実際に働き出してからの現状について、
「最初は難しかったが、教えてもらうことで仕事になじむことができた。」などと語っていました。
また、日信工業の担当者は、「障がい者を雇用したことで、他の社員も仲間に声かけをすることなどが、
自然にできるようになった。」と、現場に与えている影響について、率直な感想を述べていました。
2人の話しを聞いた小諸養護学校の中村真一校長は、
「卒業生の良いところを活かして、能力を高めてもらっているということは、学校側にとっても学びとなる。
自信を持って明るく取り組んでいる姿は好感が持てる。」と感想を述べていました。
また、参加した人たちからは、「全ては知ることから始まる。ここで終わらせるのではなく
今後の参考にしていきたい。」などと前向きな意見も上がり、
これから障がい者の雇用を考える企業にとっては、現場の声を聞くことができる
貴重な時間となったようです。
障がい者の雇用に関しては、企業の立地などによって、障がい者が自力で通勤するには
難しい場所にあるところも多く、まだまだ様々な課題があるようです。