21日(水)、今年で19回目の開催となる小諸・藤村文学賞の表彰式が、

ベルウィンこもろで開かれました。

 

小諸・藤村文学賞は、島崎藤村の生誕120年、没後50年を記念して平成4年に始まったものです。

毎回随筆をテーマに募集を行っており、19回目となった今回は、日本国内や海外から、

あわせて2394作品が寄せられました。

去年より61作品多く、過去最高の応募総数となりました。

この日の表彰式には、一般、高校、中学、それぞれの部で入賞した24人のうち20人が出席。

栁田市長から受賞者1人1人に賞状と記念品が手渡されました。

表彰に続いて、一般の部で最優秀賞を受賞した

長野市の中村美技子(なかむら・みきこ)さんの「三途の川縁(かわべり)で」が朗読されました。

この作品は、平穏に暮らしていた夫婦にある日突然ふりかかった選挙違反という容疑。

そして夫が逮捕され、家宅捜索が入り、取材陣が詰めかけるという目まぐるしい出来事を経て

改めて大きな夫婦愛を確認するというストーリーになっています。

実体験の重みのある言葉が作品の端々に使われ、聞く人々を惹きつけていました。

また、この日は中学生の部で佳作に入選し、去年11月に病気でこの世を去った

小坂由香子(こさか・ゆかこ)さんの遺作、「ウーパールーパーと父」も朗読されました。

この作品は、ふとした時に筆者がウーパールーパーが欲しいと言ったことをきっかけに、

筆者の父が懸賞でウーパールーパーを手に入れるところから始まります。

そのウーパールーパーに対する筆者の想いや家族とのコミュニケーションの様子が

作中では丹念に表現されています。

この作品を応募した後、選考中に若くしてこの世を去った筆者が残した遺作ということもあり、

会場に集まった人たちは様々な想いをめぐらせながら聞き入っていました。

選考委員長を務めた作家の高田宏(たかだ・ひろし)さんは、

「良い作品を沢山読ませていただき感謝している。プロ、アマ、関係なく文章というものは

こういうものだと考えさせられた。心から感謝の言葉を贈りたい」と述べていました。

また、受賞者を代表して挨拶に立った中村さんは、

「膨大な応募作品の中から私たちの作品を見つけていただき有難うございます。」と述べていました。