さて、懐古園内にある小山敬三美術館では、夏の特別企画展として、

現在「下図と本画展」が開かれています。

 

小山敬三画伯は小諸市出身の洋画家で、「浅間山」をモチーフにした油絵や肖像画など、

多くの名作を残しています。

晩年は小諸市に美術館や作品を寄贈したり、

財団を設立して油絵の修復技術者を養成するなど芸術、文化の発展に寄与。

1975年には文化勲章を受章したことでも知られています。

一般的に洋画家は、現場で直接キャンバスに絵の具で描いていくというスタイルをとりますが、

小山敬三は、現場でとったスケッチをもとに下図を作ってから改めて別のキャンバスに描くという

洋画家にはめずらしいスタイルをとっていました。

作品の製作過程にあたる下図は通常公開されることはありませんが、

今回は夏の特別企画展として完成した作品と下図が並べられて展示されています。

小山敬三画伯の作品の特長は、何といっても美しい曲線美です。

中でもこちらの「初夏の白鷺城」は、実際にスケッチした場所から撮った写真とともに飾られており、

実際の光景から画伯がどの程度デフォルメして描いているかが読み取れるようになっています。

写真で直線的に見える部分は、全てゆるやかなカーブを描くようにかかれており、

画伯が独自の世界観で創造的に描いていったことがわかります。

また、下図は限定的な色合いで描かれているのに対して、本画では、それを基にしながら色彩豊かに、

そして更に曲線的に仕上げられています。

線にカーブを持たせることで、動きが感じられる作品となっています。

この他にも会場には様々な作品が展示されています。

「下図と原画展」は、9月8日(日)まで小山敬三美術館で開かれています。