休館中の「渥美清こもろ寅さん会館」を運営していた株式会社こもろ寅さん会館が解散し、

建物と展示物の寄付を小諸市が受け入れることを決定したことを受け、

25日(土)会館存続を求めて運動していた有志らが、「寅さん会館」の再建に向けた

ワークショップを開きました。

この日はワークショップの前に休館中の「渥美清こもろ寅さん会館」の見学が行われ、

市内外から訪れた人たちが、館内の展示物などを見て回りました。

平成7年6月に開館した「渥美清こもろ寅さん会館」は、

俳優の故・渥美清さんや山田洋次監督と30年以上に渡って親交を深めてきた

故・井出勢可さんが中心になり、松竹や市の協力を得て開設した記念館です。

館内には小諸を舞台とした第40作の紹介をはじめ、渥美さんが生前、井出さんと交わした手紙の数々や、

寅さんの衣装、それに渥美さんの死後に贈られた国民栄誉章受章の盾など、

井出さんが、渥美さんや渥美さんの親族、そして山田洋次監督らから譲り受けた

映画の貴重な資料や写真などが展示されてきました。

会館10周年を向かえた2005年7月に行われた式典で、当時井出さんは、

渥美さんとの親交と会館設立の経緯についてこのように話しています。

多くの人に親しまれていた寅さん会館。

ピーク時には年間およそ10万人が訪れていましたが、去年は年間7000人ほどに減少。

去年10月に、館長を務めていた井出さんが死去して以降は、事実上の閉館状態となっていました。

この日は防犯上の観点から、国民栄誉賞の盾などは公開されませんでしたが、

館内の一部の展示物が公開となり、訪れた人たちは興味深そうに見入っていました。

館内の見学に続いては、地下のやすらぎ会館でワークショップが行われ、およそ50人が参加しました。

このワークショップは、多くの人に寅さん会館が小諸にあることの価値を知ってもらい、

今後の再建に関心を持ってもらおうと、会館存続を求めて署名運動などをしていた、

有志らで作るコモロ寅さんプロジェクトが企画したものです。

始めに、代表の一井さんが、会館を立ち上げた前館長の井出勢可さんと、

寅さんを演じた渥美清さんとの交流などについて、説明しました。

一井さんは「小諸の寅さん会館は、渥美さんが存命中にできた唯一の会館である。」として、

「渥美さんの持っていた本物の品がここにはある。渥美清記念館といっても過言ではない。」と

説明していました。

またこの日は、寅さんのそっくりさんとして茨城県筑西市を中心に活動している、

植木寅次郎こと植木定男さんも駆けつけ、

「皆さんの力で今一度寅さんの精神を残そうではありませんか。」と呼びかけていました。

参加した人たちからは、「この会館を活用し、寅さん映画だけでなく、小諸を舞台にしたアニメ

「あの夏で待ってる」や、古い映画の上映などを行ってみてはどうか。」といった声や、

「こもろ寅さん会館ができたいきさつを知ってもらうことが、会館に愛着を持ってもらい

維持していこうという活動につながるのではないか。」といった声が上がっていました。

一井さんは、「小諸を映画の発信地のようにしたい。」という思いもある。とし、

「今後の活用に関する決定権は市にあるので、皆さんの意見を集約して市に届けたい。」などと

話していました。