県内一の救助チームを決める「長野県消防救助技術大会」。

先日のニュースでは、

県大会突破をめざし、訓練に励む

小諸消防署の隊員らの姿をお伝えしました。

17日(土)の大会当日、

隊員たちの思いは届いたのでしょうか。

 

会場となったのは、長野市篠ノ井にある長野県消防学校です。

陸上と水上あわせて8つの種目が行われ

県内の全13の消防本部から集まった隊員らが

磨かれた技を競います。

その中でも、小諸消防署が挑むのは、

救助の花形、「障害突破」。

災害現場を想定し、5人一組で5つの障害を突破するという

難易度の高い複合競技です。

 

 

競技開始前。

待機場所の体育館には、

最終の調整を行う

小諸消防署の救助隊の姿がありました。

 

小諸消防署には、「レスキュー専門」のチームはありません。

そのため、毎年、大会用の「救助隊」を結成し、

大会に臨んでいます。

 

チームの指揮を執るのは、

消防歴17年目のベテラン、吉岡心平さんです。

隊長を務めるのは今回で3回目となります。

副隊長は、小林裕司さん。

小林さんは障害突破の選手として

大会への出場経験があります。

 

競技に出場するメンバーの中で経験者は、この2人。

土屋達郎さん、儘田大輝さんです。

2は、4年前の県大会で悲願の優勝を成し遂げた一員です。

 

新人メンバーは、

金子優作さん、塩川一樹さん、清水葉さん、

渡辺大地さんの4人です。

最年少は清水さんで、消防歴2年目の19歳。

救助訓練自体が初めての中、競技に挑みます。

 

小諸消防署が「障害突破」に挑戦するのは、今回で13目。

過去に2回、優勝を果たしていますが、

ここ数年は思うような結果がでない年が続いています。

 

儘田さん「ついにこの日がきたかと思っています。

いつも通りの動きを精一杯最大限を発揮すれば優勝はついてくるものだと思ってますので、

頑張ってもらいたいと思います。」

 

土屋さん「とにかく今年は、若手が死にもの狂いで頑張ってくれたので、、

見てて成長を感じられたのが嬉しいし、ここにきてもいい顔をしていますので、

彼らの成長した笑顔を見たいなっていうのは一番わくわくする要因かもしれないですね。

勝つためには厳しくやらないといけないと思ってたんで、

ここまではとにかく厳しくやりました。

でもそれが今日の笑顔につながるのであればいいのかなと思って。」

 

 

実は、小諸消防署内には、通し練習ができる施設がありません。

恵まれた環境ではない中、

隊員らは、その分、細かい部分まで気を配る厳しい練習を

他のチームの何倍も積んできました。

 

土屋さん「新人ならではの勢いがありますし、

そこを冷静になれるのが自分の役割だと思っているので、

とにかくチームのキャプテンとして引っぱっていき、

なおかつ冷静に隊員が楽しめるように大会に臨みたいと思います。」

 

清水隊員等「ゼッケンに身を通すと、より一層身が引き締まります。」

 

土屋さん「やることやったよ!練習量間違いなく県内ナンバー1!

俺が思うベストメンバーだ!自信持っていこう!」

 

 

キャプテンを務める

土屋隊員の力強い言葉をきっかけに

本番へのスイッチが入りました。

 

 

これまで自分たちがやってきたことを信じて、

隊員らは力強い足取りで決戦の舞台に向かっていきます。

 

出場する隊員とそれを見守る隊員たち。

こぶしを合わせ、全員の思いを一つにしました。

 

会場では、先に競技を終えた佐久広域連合消防の隊員らも

エールを送ります。

 

そしていよいよ、この日最後の種目、「障害突破」。

トップバッターは小諸消防署です。

 

「いつも通りね、楽しんでいこうよ!」

 

これまで厳しい練習に耐えてきた後輩たちだからこそ、

土屋隊員はあえてこの言葉をかけます。

 

 

ひとつめの障害、高い塀を乗り越えるところは…

難なくクリアです。

次ははしごをのぼっていきます。

 

ロープもしっかりと張り、隊員らはスムーズに渡っていきます。

 

ここまで来れば終盤です。

ボンベを背負って、細い通路の中へと向かいます。

 

ラストは、ロープをまとめ、全速力。

特に目立ったミスはないように思えましたが…。

 

応援側「気づいたか…」

 

清水隊員「最初ミスしてしまって、まだ結果がわかんないですけど、

いい結果が出るように待ちたいと思います。」

 

渡辺隊員「いや、ちょっと自分的には、悔しい所があるので、

ちょっとなんとも言えない感じですね。」

 

あまり晴れやかな声は聞こえてきません。と、いうのも…

 

土屋隊員「最後のロープのところでちょっと巻き込みがあって、減点に近いかなと思う。」

 

 

隊員らが気にしていたのが、

この最後のロープをまとめる部分です。

よく目を凝らさなければわかりませんが、

1本だけ巻き込んでまとめてしまっています。

このミスが結果にどう響くのでしょうか。

 

 

そして迎えた結果発表。

小諸消防署は、500点満点中、465点。

気にしていたロープを巻き込んだミスや、

はしごの踏み外しなどで35点の減点となり、

県大会を突破することはできませんでした。

 

清水隊員「雰囲気にのまれていつも通りができなったっていうのが正直な感想です。

この訓練ができて学べることがたくさんあって自分自身で成長はできたかなっていうふうに思います。」

 

土屋隊員「自分ももう何回もこの大会出て、1年ごとに成長した大会でしたので、

来年上の大会を目指せるようなチームになってもらえるように成長してもらえることを期待しています。」

 

 

優勝をつかむことはできませんでしたが、

この大会や練習での経験は、

若手消防士たちを大きく成長させました。

1人でも多くの人を救うため、隊員らは今後も走り続けます。