伝統的な手すき和紙づくりの原料となる植物

「トロロアオイ」を、

全国の家庭で栽培し和紙生産者へ納品する

「わしのねり」プロジェクト。

プロジェクトの一環として、小諸市氷区にある「風穴」で、

トロロアオイの保管実験が始まっています。

7日()には、風穴へトロロアオイを納入する作業が

行われました。

 

この日、作業に参加したのは、

プロジェクトの発起人 企画屋かざあなの

川口洋一郎さんと、

氷風穴の里保存会のメンバー5人、

それに大和屋紙店の

掛川 和人さんです。

 

「わしのねり」プロジェクトは、

まちなか回遊イベント「こもろ浪漫」を手掛ける、

企画屋かざあなが去年から取り組んでいる

プロジェクトです。

 

現在、生産不足となっている手すき和紙づくりの原料

「トロロアオイ」。

トロロアオイは、和紙を作るうえで欠かせない

「ねり」の原料となる植物です。

わしのねりプロジェクトでは、

これを全国の一般家庭で栽培し、

埼玉県比企郡小川町の

トロロアオイ生産組合や和紙職人へ届けています。

 

川口さん

「ユネスコ登録されている手すき和紙ですが、

原料のトロロアオイの生産不足によって、

3年でもうできなくなってしまうかもしれないといったところにきています。

そんな中で私たちはですね、一般家庭からトロロアオイを作って、

生産者に届けるような活動をしております。

埼玉県小川町がユネスコ登録されている

「細川紙」を作っているところなんですが、

そこは農家さんが原料も作っているので

農家さんにトロロアオイの作り方を教わって

一般の家庭、全国に67名のメンバーがいるのですが、

プランターであったり、畑であったり、

または庭であったりで育てて生産者へ届けるという活動とともにですね。

やはりトロロアオイ自体が、冬場だけでしか使えない生ものですので。

それをですね、和紙職人さんは1年中和紙を作りたいということで、

春、秋も使えるように保管できないかということを模索しております。」

 

生産不足の要因のひとつである、保管の難しさ。

これを解決しようと今回、

小諸市氷区にある「風穴」を活用する

保管実験が行われました。

 

川口さん

「保管するには通常、冷蔵庫といった形で低温であればということですが、

冷蔵庫ですと乾燥してしまいます。

そうすると、トロロアオイの成分が、弱まってしまうということで、

今回氷風穴さんは、なんと湿度が100%に近いということでしたので、

低温でありながら100%の湿度。

そして、カビも生えづらいとお聞きしていますので、

これがどれくらい保管できるものなのかなというのを

期待を込めてですね。実験をさせていただきました。

通常は薬漬けにして、長期間保管をすることができるのですが、

やはり薬漬けしてしまいますと紙すきをした時に、

においが残ってしまったりですね。

薬が若干残ってしまうというような、支障がでております。

そういったこともありまして、職人さんからは出来る限り自然のまま。

生のトロロアオイを使いたいというご要望を聞いておりますので、

それを実現したいと考えております。

職人さんは、冬に通常、活動されるんですが、

今は年中紙すきをしたいということで、春と秋ですね。

約1年間保存できたら最高な形かなと思っています。」

 

この日、風穴に納入された7.5キロのトロロアオイは、

定期的に状態の確認を行いながら、

年間を通して活用できるよう

試験的に保管していく予定です。