市内荒町にある

山崎長兵衛商店の旧店舗。

 

先月22日(金)に開催された、

国の文化審議会の審議・議決を経て、

文部科学大臣へ登録有形文化財登録の

答申が行われました。

 

山崎長兵衛商店旧店舗は、

北国街道沿いにある商都小諸を象徴する

西洋風の建築様式。

その佇まいからは、

大正、昭和の商都小諸の繁栄と、

それを支えた山崎屋の盛況ぶりがうかがえます。

 

今回、山崎長兵衛商店旧店舗は、

小諸城下にあり北国街道沿いの歴史的景観を

形成することから、

登録基準にある

「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に

該当するとされました。

 

山崎長兵衛商店は、

かんざしや櫛、化粧品など、小間物の小売店として、

1798年(寛政10年)に創業。

その後、着物や日用品、かばんなど、

多彩な商品の卸問屋として発展し、

東京や千葉など関東で名を広めていきました。

 

現在残る旧店舗は、1926年(大正15年)に建設。

今からおよそ96年前の建物が今もなお残る、

歴史的建造物です。

 

木造2階建てで、

外壁のモルタルに細かい石を混ぜ込んだ

石造り風の正面は、

シンプルで重厚な雰囲気を醸し出しています。

 

西洋風の外観に対して、内観は和風の木造建築。

 

かつては1階を商品置き場、事務所、店舗として。

2階を取引先との会食場や着物の販売会場として

使用していました。

 

そして今、「荒町The GATE」という商業施設として、

建物を再度活用する取り組みが行われています。

 

発起人は、

以前、小諸市地域おこし協力隊として活動していた石川実さん。

石川さんは、およそ5年前に小諸へ移住してきました。

移住前は東京で、通信関係の仕事をしつつ

家具デザイナーとしても活動。

北軽井沢にアトリエを持ち、家具製作も行ってきました。

 

家具製作で信州に訪れていたことから、

偶然、小諸市地域おこし協力隊の活動を知った石川さん。

活動に携わりたいと、思い切って移住を決意しました。

さらに、小諸の街を活性化したいという思いから、

山崎長兵衛商店の購入を決めたといいます。

 

石川さん

「私がちょっと前に、地域おこし協力隊として

小諸に移住してきて3か月くらいですかね。

この建物が取り壊されるっていう話になりまして、

それでとても価値ある建物だと思っていたので、

何とか残せないかということで

いろいろな方の支援を頂いて残すことができて、

そこから新しいプロジェクトとして今進めているところです。

ようやくこの建物の、価値が少し認められたということで、

5年間かかりましたけれども、

今は感慨深い、感無量という気持ちでいっぱいです。

この建物自体は、観光と地域の交流の複合施設

という目標を立てて作っておりまして、

今後はよりですね、色んなお店さんとかアーティストの方とかが

この中でいろいろモノを売ったり表現したりですね。

そういった活動の場、発表の場でもありますけれども。

そういったところをより進めていきたいなと思っております、

古くて価値のあるものが好きな方たち、

全国にたくさんいらっしゃますので、

そういう方たちに

今回有形文化財っていう認定も頂けるっていうことなので、

全国から、世界から来ていただいて

古き良き館内を見て頂きたいなって思います。」

 

現在、1棟貸の宿泊施設や

お酒を楽しめるサロンを運営している

「荒町The GATE」。

石川さんは今後も様々な活用方法で、

小諸の観光振興に貢献していきたいとしています。