長野県が地域とともに進めるこれからの学校づくりについて、

教育関係者や一般市民が意見交換を行うシンポジウムが

5日(日)に開かれました。

 

県では、県立高校や特別支援学校の校舎を、

児童生徒や教職員、

それに保護者や地域住民、建築の専門家など、

多くの人と一緒に創っていこうと、

「長野県スクールデザインプロジェクト」

通称「NSDプロジェクト」を進めています。

 

「NSDプロジェクト」の

キックオフシンポジウムと題して行われた今回。

県立長野図書館をメイン会場に、

高校再編計画により、新校の開校が決まっている

小諸市と伊那市にも、

それぞれパブリックビューイング会場が設けられ、

関係者らが会場に集まりました。

 

シンポジウムのテーマは

「地域と共に進めるこれからの学校づくり」。

初めに、

法政大学デザイン工学部教授で、

各地の先進的な学校建築の設計に携わってきた

赤松佳珠子(かずこ)さんを講師に、

貴重講演が行われました。

 

赤松さんは、

「これまでは量産型の校舎建築が主流だったが、

老朽化や生活スタイルの変化によって、

生徒たちが主体性を持ち、探求的な学びが実践できる

新しい学校建築の工夫が求められるようになった。」などと説明。

 

「校舎のデザインと本質的な学びは切り離せない」として、

「設計者と教職員、生徒、地域の人たちが

基本計画の段階から共に携わっていく形が重要だ。」と

述べました。

 

続いて、トークセッションが行われました。

東北大学大学院教授で、

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の客員教授として

現在アメリカに滞在中の

建築計画の第一人者、小野田泰明さんをファシリテーターに、

長野県の阿部守一知事や内堀繁利教育長らが

パネリストとして登壇。

新しく開校を予定している新校のあり方などについて、

意見が交わされました。

 

小諸市で予定されている

小諸商業高校と小諸高校を再編・統合する「小諸新校」は、

新校地として、小諸商業高校を活用。

全日制課程は普通科・商業科・音楽科を設置し、

1学年7学級。

令和8年度の開校を目指しています。

 

新校地には、

今ある校舎を活用しながら新たに、音楽棟などを含めた

「地域連携協働室」を設置。

地域との連携協働を目的に、

小中学生や地域の人が交流できる場とする予定です。

 

会場に参加していた高校生からは、新校の建築に向けて

こんな意見がー。

 

「現在小諸商業高校は住宅街の中に建っていて

土地も狭く今の商業科4学級で3学年分で手一杯に感じるような校舎です。

そこで小諸高校と合併して音楽科普通科商業科の

3科7学級程度の生徒に合わせた校舎は

どんな形になっていくんだろうとすごく不安もあります。

こういう不安を持っているのは私だけじゃなくて、

小諸高校、小諸商業高校の生徒もだと思います。

そこで不安を解消するために

長野スクールデザインプロジェクトの目標や情報を

共有していただいて今後の目標を生徒に

実際に知ってもらうということをしてほしいと思います。」

 

「高校生って大人のみなさんが思っている以上に

自分の将来のことを見据えて高校に通うことの大切さを

絶対知っていると思っていて、

学校が人をつくる、人が地域を作るということに対して賛成なんですけど、

いきなり先を見据えすぎて、

周りを気にする高校生が地域の人たちと

コミュニケーションをとるということは厳しいことなので、

基本的なコミュニケーション能力というものを

学習空間と絡めて考えていただけると

もっと先に進むんじゃないかなと思います。」

 

これに対してパネリストらはこう回答しました。

 

「今のまさに我々大人たちもそうでありたいと思っていることですので、

みなさんの考えが反映されたり希望が反映されたり、

一緒になって考えたりという場面をたくさん作っていきたいなと思っています。

君たちが主語になる君たちが主役になる学校づくりを進めていきたいと思っていますので。」

 

「こういうことあるとみんな不安なんですよ。

不安はだいたい反対につながっていくんです。

若いみなさんにはチャレンジだと思って

不安なんて言わないで変えていけばいいんだと思ってやっていってほしい。

それが問題解決活動なんですね。

この問題解決していく活動そのものが

みなさんの力をつけるんじゃないかなと思っています。」

 

また、阿部知事は、子どもたちが主体的に行動し、

多様性を尊重する教育を実現させていきたい。などと

述べていました。

 

長野県教育委員会では、今後、

新校の建設に向けて、全国の建築関係者の提案による

プロポーザル審査を実施する予定です。

今後は、基本計画策定の段階から、

プロポーザルで決定した業者と高校関係者、

市民などによるシンポジウムを開催していくとしています。