続いては、市内に新たなお店がオープンとなる話題です。

 

サイフォンコーヒーの日本チャンピオンが織りなす

新しい形のカフェが市内荒町にオープンします。

その名も「彩本堂」です。

どんなお店となるのか、特集でお送りします。

 

市内荒町・与良町交差点すぐ近く。

かつて山崎屋玩具店だった建物を全面改装した店が

新たにオープンするカフェ「彩本堂」です。

 

中へ入ってみると、そこにはオープンを控え

準備を進める支配人の姿がありました。

中山吉伸さんです。

 

中山さんは、現在40歳。

ことし3月まで丸山珈琲に勤務していました。

2013年、サイフォンコーヒーの日本チャンピオンを決める

「ジャパンサイフォニストチャンピオンシップ」で初優勝。

2015年、2018年にも優勝と、

3度、日本チャンピオンに輝いている他、

世界大会でも2位に輝いた、

サイフォンコーヒーの第一人者です。

 

​ランプに火を灯し、フラスコの中でお湯を沸かして

ロートを挿し込むサイフォンコーヒー。

海外で始まったとされ、日本ではおよそ100年前に開発。

その後日本独自の形で世界に広がり、

発展していったものです。

丸山珈琲で初めてサイフォンの研究に携わり、

提供店の開店や

サイフォニストの育成にも携わってきた中山さん。

サイフォンの魅力をこう話します。

 

中山さん

「同じ珈琲でいれてもサイフォンで入れると香りがさわやかになって

すごく分かりやすくなるんですよ。

あ、こんな香りがすると明確性が生まれて、

飲み終わったあとに香りの余韻が奥から湧いてきて

長い時間この香りそのものを楽しめるんですね。

一杯一杯丁寧に自分のためにいれてくれたということが、

味わいのおいしいという前後の時間経過で、

全部で楽しませてくれる。

サイフォンがおいしさに花を咲かせてくれるんですよね。

一つの香りの劇場を作れるのがいいなと思っていて、

サイフォンの魅力ってそこなんですよね。」

 

華々しく活躍していた中山さんですが、

サイフォンをもっと気軽に多くの人に楽しんでもらいたいと

独立に踏み切ることになります。

 

中山さん

「昨年コロナが来て、10年勤めて自分も40歳を迎えて

いろいろな節目がやってきたことで、

世の中に自分のサイフォンとサービスで

みなさんを幸せにできるという活動をしていけたらと思って

急に独立を考え始めました。

本来のコーヒーそのものの香りを楽しむというのは

コーヒーが主役になるんですけど、

楽しむ時間、暮らし方そのものというのが本質。

そういう本質を彩ってくれるサービスをサイフォンで提供する店にしたくて、

本質を彩るというブランドコンセプトに

その文字をとって『彩本堂』という風にしました。」

 

丸山珈琲でのスタートは小諸店だったという中山さんにとって

小諸は特別の地。

そんな特別な地で「本質を彩る店―彩本堂」を

始めることになりました。

 

中山さん

「僕がコーヒーのサイフォンのチャンピオンになっていくのに

小諸は成長を見届けてくれた場所なんです。

やっぱり一番最初、自分がお店を開くときに過去の思い出から振り返ると

小諸のお客さんに成長した自分の姿を

サービスで還元できるということが一番強いところですね。

北国街道沿いの蔵や昔の建物、歴史を感じる町並みがありますから、

店の中だけでないサービスを完結させるためにも街の力って必要で、

そういう意味でも小諸の街っていいなと思いましたし、

実際準備をはじめてみると街の人たちが

私ごとのように興味を持ってくれたり応援してくれたり

力を貸してくれるという、

コミュニティの温かさというものがあったのは、

始めてみてわかったんですけど、

なおいいところだなと思いましたね。」

 

そんな中山さんのもう一つのこだわりが、

盆栽と苔風景作品です。

苔風景作品はなんと中山さんが手掛けるもの。

店の2階の自宅で日々制作しています。

サイフォンチャンピオンとして活躍していた頃、

自然とコーヒーの相乗効果についての研究を始めた中山さん。

盆栽を育てる中で、盆栽とコーヒーのペアリングの効果を発見。

「彩本堂」は、

盆栽とサイフォンでいれたコーヒーを共に

楽しむ店としてオープンします。

 

中山さん

「盆栽を眺めながら、手入れしていたときに、

一杯のコーヒーを飲んだときに

小さいみかんの実をつけていた盆栽だったんですけど、

たまたま手元にあったのが、

かんきつ系の香りのさわやかなコーヒーだったんですけど、

それを見ながら飲んだときに、

知っていたはずのフレーバーですけど印象に強く入ってきたんですね。

視覚的なものを介して味わいを感じるという可能性に将来を感じて

盆栽とコーヒーと合わせることで一杯の香りがわかりやすく楽しく伝わるって

すごく面白いなとなってコーヒーを頼むと盆栽が一緒にでてくる

というサービスが形になっていきましたね。

今までと違ったサービスが提供されるということに

目を向けられる時代になったからこそ

逆に新しい提案を世の中にしていける時なのかなと思って

コロナなので不安はあるんですけど、

逆にそういう時だからこそ新しい形を世の中に生み出して行く時だと思って

勇気を振り絞ってコロナ禍のオープンを決断したところですね。」

 

古い材木のぬくもりにあふれる店内は中山さんのこだわり。

和の空間で味わう非日常の雰囲気を提供したい。

そんな思いから改装された店内には、

サイフォンを楽しむためにしつらえた

特別なカウンターもあります。

 

中山さん

「カウンター席の一番よいところは

お隣の方の会話も聞けるというのもあるんですけど、

直接提供側とお客様が向き合えるということが最大で

サイフォン珈琲のお店というのはもともと抽出をする熱の遮断と

お湯がふきこぼれることも起こりうるので、

もともとガラスシールドをおくことが設備としてされているんですけど、

この時期のオープンなのでコロナ対策ということが欠かせなかったんですよね。」

 

隣同士の間にも工夫が。

コロナ対策したという雰囲気を伝えずに、

あくまでも自然な個室のような空間を作りたい。

そんな思いが込められています。

 

中山さんは、このカウンターで

盆栽とコーヒーを一緒に味わう時間を

お客さんに存分に味わってほしいと話します。

 

「この影の感じってテーブルコーディネートの1つなんですけど、

人間が介在してもできない自然らしさがあってお席も端に行く方が影が長くなる。

こっちに行く方が真下になるんですけど、

一人で座った時はこっちにしようかなとこういうのも楽しいかなと思って。

コーヒーわからないけど好きな人が多くて、

こういうコーヒーなのでこの紅葉をあわせてみました。

ということを言葉を添えるんですけど、

二度と同じものが来ないのが自然のサイクル。

二度と出会えないかけがえのない時を大事に過ごせるって

日本人が自然に素直に向き合ってきた本来の心だし

みんなそう言われると日本人って気持ち動くと思うんですよね。」

 

支配人、中山さんと志を共にするのは、

丸山珈琲で中山さんと共に働いていた仲間の一人、

梅谷匡尚さんです。

「彩本堂」の代表を務める梅谷さん。

ここ小諸で店を始めることについて、

この場所だからこそのチャンスを感じていると言います。

 

梅谷さん

「小諸というところが歴史とか文化とか

人が集まる場所だったのでそういうポテンシャルは

すごくある場所だと思っているんですね。

このコロナの状況においてなかなか外出をされない、

外出をするなら普段味わえない体験をしたいですとか

せっかくお金を払うんだったら

ちょっといつもと違う他のお店では味わえない体験をしたいと

みなさん思われると思うんですよね。

小諸という場所だけで見ると人口も少ないんですけど、

もう少し広い目線でみると、車で30分から1時間という距離では、

上田とか軽井沢とか長野とかまで入ってくるんですよね。

広く商圏をとらえたときに

ビジネス的な利点もあるんじゃないかなと思っています。」

 

先月24日、彩本堂では

オープンを前に記者会見と内覧会が開かれました。

 

店内はコーヒーとのペアリングを楽しむための盆栽などが並び、

内観も整う中、来賓として訪れた市長らに

サイフォンで入れたコーヒーが振舞われました。

 

「彩本堂」では、支配人の中山さん、代表の梅谷さん、

そしてもう1人、若きサイフォニストの髙橋寛樹さんの

3人のサイフォニストが、

極上のコーヒーと非日常の空間を提供。

北國街道のまちなみに新たな光が灯されます。

 

中山さん

「自分自身が再発見出来る場所とか人とつながることの大切さを

常に感じられる店になっていったらすごくいいですし、

小諸がそういう街なんだという風に

ぼくらが感じているものをサービスで返すことで、

小諸以外に住んでいる方にも小諸ってそういう街だよねと

サービスを通して長い時間かけて

育っていったらすごく良いなと思っていますね。

彩本堂は一杯のおいしい香りを

新しい感覚や体験で楽しんでいただくそんなお店です。

小諸に来ること、小諸に暮らすこと

それが新しい楽しみになっていくような光景が出来たらと思っています。

お待ちしています。」

 

世界に唯一の新たなスタイルで楽しめるカフェ「彩本堂」。

7日(月)にグランドオープンを迎えます。

コーヒーは5種類で一杯770円から。

盆栽の販売も行います。

サイフォニストが織りなす世界へ

ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。