JICAの農業改良普及員が、

アフリカ地域市場志向型農業振興の視察研修として、

ひしの直売所を訪れました。

 

この日は、アフリカからやって来た11人の農業改良普及員が、

アフリカ地域市場志向型農業振興の研修として、

ひしの直売所を視察しました。

市場志向型農業振興とは、

2006年から始まったケニア農業省とJICAの

技術協力プロジェクトにおいて開発された、

小規模園芸農家支援の仕組みです。

野菜や果物を生産する農家に対し、「作って売る」から

「売るために作る」への意識変革を起こし、

営農・栽培スキルの向上により、

農家の園芸所得向上を目指すものです。

JICAはこの取り組みを広めるため、

アフリカ地域を中心に世界各国で実践しています。

この日訪れた普及員らは、4月から日本に滞在し、

これまで農業実習や、農家の視察などを行ってきました。

営農や栽培スキルを身に着けるとともに、

農作物の販売・加工について学び、

自国での農業指導に生かすことを目的としています。

はじめに、普及員たちは「ひしの直売所」の

原田義正組合長から、

ひしの南蛮の生産・販売方法について説明を受け、

試食しました。

 

普及員

「とてもおいしかったです。」

「とてもおいしかったです。辛いと思ったのですが、

思ったより甘味が強かったです。

あのように調理されているとは知らず、

とてもおいしく頂きました。」

 

「ひしの南蛮」は昭和18年頃、

菱野地区の住民が朝鮮半島から持ち帰った種を

まいたことから栽培が始まったと言われています。

アオトウガラシの一種で、

ピーマンの上下を潰したような、コロンとした形が特徴。

現在も交配を避けるため、専用の畑で種から栽培されています。

平成21年には長野県の「信州の伝統野菜」に認定され、

一層人気が高まりました。

 

講義の後、普及員たちは、

ひしの南蛮を栽培する北澤住人さんの

畑へと向かい、

うねの作り方や、受粉方法などについて詳しく視察。

初めて見るひしの南蛮の畑を前に、

みな意欲的に質問をしていました。

 

普及員

「母国では農家の人たちは、唐辛子を栽培しません。

しかし、きょうここで栽培方法を学んだので、

母国に帰ったら唐辛子で何か農業ができるよう、

農民に指導し働きかけたいです。

ゆくゆくは唐辛子を販売したいですね。」

 

「私にとって全く新しい農作物で、

こちらの農家の人に感銘を受けました。

唯一無二のものを探し、生育して、この土地で市場を開拓する。

これがひしの南蛮のユニークさで、とても感動しました。

日本の農家では、特定の地域に根差した固有の農作物を

生産していることがとても興味深いです。」

 

組合長 原田さん

「試食もみなさんいっぱい食べてもらって、よかったと思います。

唐辛子じゃなくても、こういう南蛮でも、

どういう風にやっているっていうことを

学んでいくっていう予定らしいんですけど、

また地元に戻って広めてもらえればうれしいですけど。

生産者が減っちゃってるんで、

もっと若い人に少しでもいっぱい作って

出荷してもらえるようにしていきたいと思ってます。」