『【特集】有事の際に活躍 小諸消防署に特別救助隊設置(23.5.31)』
「小諸消防署・特別救助隊」。 佐久広域連合消防本部の消防長から任命を受けた 20代から40代まで15人で構成されています。
人口10万人以上の地域を管轄する消防組織には、 救助専任の救助隊の設置が義務付けられています。 特別救助隊はその一つ。 昨年度から小諸消防署で試験的に運用がスタート。 今年度から本格運用が始まりました。 「特別救助隊」は、大規模災害を始め、 「NBC災害」と呼ばれる、核兵器・生物兵器・化学兵器によって生じた災害や、 テロなど、特殊災害にも対応する特別部隊です。
通常の消防隊や救助隊では対応しきれない災害にも 対応します。 救助工作車を所有し、 救助大会などで長年活躍するなど、 救助の伝統があることから 小諸消防署に設置されることになりました。
この特別救助隊の隊長に任命されたのが 警防係長の篠原浩一郎さん。 去年から小諸消防署に配属。 それまでは佐久広域連合消防本部で 特別救助隊の結成に向けた準備にも携わってきました。 これまで緊急消防援助隊として、 東日本大震災など県外の災害現場に派遣された経験も。 救助に長く携わってきた経験を生かして、 隊員たちに救助に携わる際の心構えなどを しっかり伝えていきたいと話します。
篠原隊長 「特別救助隊は災害現場で なかなか通常の消防隊や救助隊が 対応しきれない災害に対応する救助隊です。 佐久広域に一隊しかない隊の隊長ということで、 かなりプレッシャーもあるんですけれども、 そういった災害に対応することができる隊ですので、 そういった隊をこれから作っていくということに対しては 非常にやりがいを感じています。 やっぱり救助の現場というのは 直接人の命とかそういったものに関わることが多いので 非常にやりがいがあります。 どうしても最近自然災害が多くて そういったことが管内でも起こる可能性があるので、 そういった時にしっかり対応できる形で そういった部隊に関われることが非常に誇りに思います。 自分は特別救助隊に選ばれたという誇りを持って、 任務が困難な災害現場で活動するということですので、 一人ひとりが自分は何をしていけば良いのか ということを考えてもらって工夫しながら、 やっていってもらえればいいかなと思います。」
特殊災害へ対応する特別救助隊。 そのため、必要な資機材を活用した あらゆる災害を想定した訓練が求められます。 実際の現場でも3人から5人1組で動くことから、 この日は5人ずつ3回に分けて訓練を実施。 化学災害に対応するべく、 災害現場に到着し、 除染活動などを行うまでの一連の流れを訓練しました。
隊長は、通報者に詳しく中の状況を聞いていきます。 有毒のガスで服が汚染されている可能性もあるため、 通報者に上着を脱ぐよう促しました。
検知器で、有毒ガスなどが検知されないかなどを確かめながら、建物の近くへ。 進入統制ラインを引き、活動の範囲を定めます。
進入統制ラインとは、 初動時において活動隊員や要救助者の出入りを統制し、 汚染拡大を防止するために設定するものです。
隊長は、隊員らに現場の状況を伝えると、 この後の動きについて指示を出します。
現場では、空気呼吸器のボンベの残量などから 限られた時間で救助を行わなければなりません。 ここでは時間を15分と定め進入することになりました。
隊員たちが活動で着るのは陽圧式化学防護服。 生物剤や、毒劇物、危険物などの 化学物質にさらされた現場で使用する、 手袋や靴などが一体となったものです。 これに空気呼吸器を加えると10キロ以上の重さになるため 動くのも一苦労です。 更に、互いの声が聞こえない状況になるため ジェスチャーで意思疎通を行います。
準備が整うといざ建物内へ進入です。 現場に到着。入口前で歩けずにいる要救助者を 二人がかりで救出します。 防護服を着ての救出は体力をも奪っていきます。 そして部屋の中に侵入。 倒れているもう一人の要救助者を2人が運んでいきます。
無事外へ救出。 ここで要救助者の除染作業を実施します。 隊員らも除染を行い隊長の指示で防護服を脱いでいきます。 除染を完了させ、無事設定時間内に 全ての救助業務は完了となりました。
このように特別救助隊の訓練では、 有事に備え、実際の災害を想定した訓練を実施していきます。 最後の3回目の訓練では 短い時間の中で狭い部屋からの救出といった この日最も負荷をかけた訓練を行いました。
実際の現場は条件が良い場所だけとは限らないため、 条件が悪い時に搬送するためには どのようにしたら良いかということを 常に考えておかなくてはなりません。
空気呼吸器の残量も少なくなり、危険な状況になる場面も。
全ての訓練を終えての振り返りでは篠原隊長が 実際の現場で求められることを隊員らに伝えました。
「もう隊として無理だと思ったら、 その場に要救助者を置いて脱出してくるのも 一つなんだよね。 最後までどうしてもやろうと思うと 現場だとかなりやばい状況になるので、 判断するのは隊長の役割なんだよね。 この先出来るかできないか判断をしてもらう。 無理なら無理で脱出して 次の隊を入れればいいわけだから。 やっぱり安全管理という面からみて なんでもかんでも 自分たちでやらなきゃいけないのではなく、 こういう活動からすると危なくなっちゃうので 考えてもらった方が良いかなと思います。 訓練としては良い訓練だったと思います。 大変だということがよくわかってもらったと思うし、 自分の限界が分かると思うし、 かなりきつかったと思うけど。 訓練なんでいっぱい失敗してもらっていいです。 そこから学んでもらえればいいと思いますので。 決して訓練を上手にやろうなんて思わなくていいので。 今のはすごく良い訓練だったと思います。」 篠原隊長の言葉を受け、 隊員らも自らの反省点や隊として今後の課題を上げていきます。 有事の際、地域住民の命を最前線で守らなければならない。 皆、大きな責任を身をもって感じている様子でした。
隊員 山崎さん 「実際に着てみて訓練をしてみて 自分が想像していた以上に、 非常に労力を使う活動です。 ですが実際の災害現場になれば 自分たちしか防護服を着て 危険な区域には入っていけることができないので、 どんな災害にも対応できるよう 訓練していきたいと感じました。 特別救助隊ということで、 救助においては最後の砦となり得る隊になります。 小諸市内はもちろんですが、 佐久広域管内の特殊な災害、 活動困難な災害に対応できるような隊員を 目指していきたいと思います。」 高見沢さん 「やはり特別救助隊ということで、 とても責任感の強い立場だと自分では思っています。 なので日頃から訓練をして 向上心を持ちながら 活動できればいいなと思っております。 実際やってみて、 やっぱり活動しづらいなというのがありまして、 現場に出ると同じ現場はないと思いますので、 様々な場面で対応できるように これからも訓練をしていきたいと思います。」
そんな隊員たちの様子に篠原隊長はー
「かなり今日きつい訓練をやったと思うんですけれども、 やっぱりそれぞれ自分の任務を しっかり自覚してそれに従っての訓練が できたかなと思っています。 やはり特隊に任命されて、 任命書を交付されていますので、 それぞれ考えてやってくれている というふうな感じはします。 今年度から正式運用ということで 特別救助隊はじまって、 自分も含めて隊員もそうですけど、 初代ということですので、 これからの佐久広域の特別救助隊としての歴史を つくっていくということを しっかりと自覚してですね、 地域住民の方々のために しっかりと訓練をして備えたいと思っています。」
今後特別救助隊では 月に2回から3回のペースで訓練を実施。 佐久広域はもとより 県内外で大規模災害が発生した際には、 真っ先にその任務にあたります。 有事の際に市民を守るために。 特別救助隊はその重要な任務にあたるべく、 日々訓練に励みます。