風穴の活用方法を考えるワークショップ開催 (15.9.13)

           
        Posted on 2015年 10月 6日      
     
       

一昨日13日(日)小諸や佐久など、佐久地域の若手建築士たちで作る長野県建築士会佐久支部青年・女性委員会では、氷区にある天然の冷蔵庫「風穴」の活用方法を考えるワークショップを開きました。


この日は、小諸や佐久などに住む建築士を始め、市民など、およそ20人が参加し、地元氷区の前田富孝区長と、区民の土屋清さんの案内の下、風穴を見学しました。

 

北向きの斜面に面し、地中の温度が一年を通して低い氷区。風穴は、その自然環境を活かし、5、6メートルほどの深さの縦穴を掘削して造られたもので、始まりは江戸時代中期頃と言われています。かつてはおよそ10の風穴が集中していましたが、現在は、明治7年3月に創設されたと見られる、ただ一つの風穴だけが使用されており、その他の風穴は、かつて使用された面影を残すのみとなっています。

 天然の冷蔵庫と言われている風穴。驚くことに、夏から初秋にかけての中の平均気温は0度から3度。石垣の隙間から流れる冷気によって、暑い夏でも気温は一定温度保たれます。


その特性を活かして、養蚕が盛んだった明治期には、蚕種の貯蔵などに多く使われていた他、現在も、漬物の保存や、菊の花などを保存し、花を咲かせる時期の調整にも活用されています。

ただ、時代の流れと共に、利用者の高齢化や花の生産者の減少から、風穴での保管量が減少しているのが実情です。

 この日訪れた参加者らは、自然の恵みを活かして作られた風穴の中の様子を体感したり、外に遺された風穴の跡を興味深そうに見て回っていました。



この日、一行は、風穴での見学を終えると、場所を近くの「あぐりの湯こもろ」に移動して、2グループに分かれてのワークショップを行いました。

このワークショップを主催した、長野県建築士会佐久支部の青年・女性委員会では、去年1年間に渡り、信州大学経済学部の学生と共に、本町や与良などの北国街道や相生町、それに風穴のある氷集落など、小諸のまちなみ調査研究を行っています。

氷集落を調査した学生たちからは、風穴の保存と今後の活用についての検討が課題として投げかけられており、今回の取り組みは、去年の調査を更に深め、発展させる形で企画されました。 


参加者たちは、風穴を始め、氷集落一帯を見学して感じたことなどを思い思いに述べ合いながら、今後の風穴の活用方法について、付箋に書いて模造紙に貼っていきました。

 

最後の発表では、観光スポットとしての活用や、風穴の歴史の掘り起しが必要といった声や、多くの人に風穴を知ってもらうことも必要といった意見が挙げられていました。


主催した建築士会では、今回出された意見を元に、地元氷区の区民との座談会などを開いて、今後の活用策を一緒に考えていきたいとしています。

     
   
 
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