『第31回 小諸・藤村文学賞 入賞作品発表(25.6.2)』
ことしで31回目を数える
「小諸・藤村文学賞」の入賞作品が決定し、
2日(月)に
藤村ゆかりの宿中棚荘で
記者発表が行われました。
「小諸・藤村文学賞」は、
小諸ゆかりの文豪、
島崎藤村の生誕120年、没後50年の年から、
毎年行われているもので、
ことしで31回目を数えます。
応募者の自己啓発や
応募作品を通じた交流の機会を生むことが
ねらいとなっています。
エッセイが対象で
ことしは国内外から過去最多となる
3466作品が寄せられました。
選考委員を務めるのは作家や
文学研究家など4人です。
事務局で2回の予備選考を行い、
記者発表の前日、1日に選考委員による
本選考を中棚荘で実施。
29点の入賞作品が決定しました。
ことしは、一般、高校生、中学生、
それぞれの部門で、
最優秀賞1人、優秀賞2人、
佳作5人が選ばれています。
選考委員の江尻潔さんは
ことしの作品について、
このように講評を述べました。
「今回、非常に際立ったテーマというか、
全体を通して見たところ、
〝真のコミュニケーションは何か?〟
〝果たしてそれが言葉で
どのように伝えられるのか?〟
ということを考えさせられる作品が
多々見受けられました。
これは、ひとつ考えられるのが、
世界情勢が悪化しておりまして、
戦争はずっと続くものではないから
いつかは収束するのは
確かなことだと思うんですけど、
果たしてその戦争が収束した後に
本当の平和が訪れるのだろうか、
本当の平和は、どこで気が付くのか
というと、やはり、
他者に対する深い思いとか、
愛情とか、そういったものがなければ、
どんなにコミュニケーションとっても空回りだし、
本当の平和は訪れないのではないのか
という思いが今回の応募作品から
ひたひたと感じるところでありました。」
一般の部、最優秀賞に選ばれたのは、
北海道在住の中尾則幸さんの作品
「爺の〝泣き虫〟コロッケ」です。
この作品は、亡き妻が残した
手書きのお料理ノートをもとに、
筆者が2人の息子のために
コロッケ作りに励む様子を描いたものです。
姿は見えなくても、
お料理ノートや筆者が作る料理を通して、
家族の心の中に生き続ける妻、母親の存在。
料理を通してつながる家族の絆や愛が
温かく、美しく描かれた作品となりました。
選考委員の太田治子さんは
「夫婦は、一緒にいる時は
けんかをすることもたくさんあるが、
いざ一人になると非常にさびしいもの。
人の心は、
思い出の中でも
ずっと生き続けられることを感じる
すばらしい作品だった。」
などと述べ、
作品を高く評価しました。
その他、高校生の部、
中学生の部の入賞作品も発表。
高校生の部では、最優秀賞に
早稲田大学高等学院3年の
藤倉鼓太郎さんの作品、
「未来の足音」が。
中学生の部では、
常総学院中学校3年の
染谷春花さんの作品、
「ソウルの街で」が最優秀賞に選ばれました。
選考委員の堀井正子さんと
新井正彦さんは、
今回の高校生の部と中学生の部の応募作品に対して、
「近年の世界情勢や便利になる社会の中で、
自らの実体験から感じたことや考えたことを
うまく言葉にしてまとめている作品が多くあった。」
と述べました。
また、ことし4回目となる
小諸市民や小諸市内に
通学する学生に贈られる
市長賞・教育長賞では、
一般の部、高校生の部、
中学生の部から、
あわせて5人が入賞しました。
小諸市長賞には
大久保宏子さんの作品、
「時が戻る店」が選ばれています。
教育長賞の高校生部門では、
小諸商業高等学校3年の
土屋壬生さんの作品、
「ちゃんと届いたよ」が。
中学生部門では、
小諸市在住で、
屋代高等学校附属中学校3年の
三木夢さんの作品、
「一人の存在」が選ばれました。
また、去年新設された奨励賞には、
最終選考に残った作品の中から、
市長賞、教育長賞に準ずる
特に優れた2作品が選ばれました。
今回、小諸市からは425件の応募があり、
前年度と比べ60件増加と、
前年度を上回る応募数となりました。
31回目となる
「小諸・藤村文学賞」の表彰式は、
藤村忌にあわせ、
8月21日にベルウィンこもろで開催予定です。
また、ことしも市長賞・教育長賞に選ばれた作品と
最終選考に残った作品を集めた作品集
「高原の町のスケッチ2024」を制作し、
表彰式後に関係者や
市立小諸図書館に配布するということです。