『小山敬三画集「非売愛蔵絵画」出版発表会(24.5.14)』

           
        Posted on 2024年 5月 23日      
     
        小諸市出身の文化勲章受章者、 小山敬三画伯。 画伯がこれまで 世に発表していなかった作品を集めた画集を 小山敬三美術館友の会が出版しました。 その名も『小山敬三画集「非売愛蔵絵画」』です。 14日(火)には、小山敬三美術館で 出版発表会が開かれました。
この日、 小山敬三美術館のアトリエには、 報道陣や小山敬三美術館友の会 小林秀夫会長らが集まりました。
小諸出身の洋画家で文化勲章受章者である 小山敬三画伯。
数々の名作を残してきた画伯ですが、 1935年、当時画伯が37歳からの8年間は、 世に知られていない作品がほとんど。 その期間は、 描いた絵を一切売らなかったといいます。
実はこの8年間の絵画は 限られたメンバーのみに渡っていました。 そのメンバーは、 神戸にある西村旅館の館主 西村貫一氏により結成された 「小山敬三作品保有会」。 関西の財界人を中心とする会で、 画伯は会員に非売品として 配布する代わりに、 経済的支援を 受けていたといいます。
配布しきれなかった絵画は 焼き捨てられたこともあり、 作品そのものは ほとんど所在が不明で、 写真版の記録も 手に入れることが難しい状況でした。 その間に描いた油彩画は現在、 小山敬三美術館に 写真集として保管されています。
このことを知った 友の会の小林秀夫会長や 美術館学芸員で 友の会の会員でもある 中嶋慶八郎さんらが中心となって 美術館に保管されていた 4冊の写真集を再構成。 デジタル化し、 絵画集としてまとめ、 出版することになりました。
この日、学芸員の 中嶋慶八郎さんは 画伯と父のエピソードや 「小山敬三作品保有会」について 詳しく説明しました。
中嶋さん 「小諸の旧家の出身で 江戸時代から旧家の出身で、 子どもの頃から絵が好き。 いろいろ家にも 日本の伝統の名品があったりして そういうものに囲まれて育ってきた というそういう恵まれた環境だった。 お父さんは非常に芸術に理解のある方ですね。 そのお父さんは、 「小山敬三としては 絵を趣味で描くのはいいのだけど 絵を売って生計を立てるというのは 絵が堕落するから私は良くないと思う」 ということで 小山敬三が画家になりたいという時 反対をしたんですね。 なかなか許してくれなかったのですが、 小山敬三としては 「わかりました。 それでは私は一生懸命絵を描きますから 一生私の面倒を見てください」 と途方もないお願いをお父さんにして 「わかった。そういうことなら 面倒見てやるから一生懸命を描きなさい」 という風に言って許してもらったと。 おそらくそのエピソードを踏まえて 西村さんに話したことが あるのではないかと思うんですね。 それを西村さんが覚えていて 絵を描くにあたって、 お金の心配をしなくていいから 小山敬三くん絵を描きたまえ ということでこういう会を発足させたと。」   さらに中嶋さんは、 「画伯にとって 大きな制約はあったものの、 世界恐慌や戦争の時代を支えた 会の活動により、 創作活動に注力できたのではないか」 などと話しました。
画集には、フランスのアンチーブ港や瀬戸内海など 空白の8年間で描いた油彩画が収録されています。 ほぼ全ての作品が これまで世に発表されていなかったものです。   小林会長 「小山敬三画伯の絵は 美術館にもありますし 画集も何冊も出ているのですが、 実は空白の期間と言いましてね、 絵が世に出ていない期間があるのですね 8年間あって、 その絵については あまりご存じない方が 多分多いなと思っているのですね。 その記録がモノクロの写真集で わずか10何部作ったと思うのですけど その8年間に作った作品を まとめた貴重なものが 美術館の倉庫の中にありまして これは世の中の皆さんに 見て頂いたほうがいいなと思って これを作ったということですね。」 画集は、A4版、118ページで、 96点を掲載。 写真集4冊の年代順に モノクロ写真や カラーデータを紹介しています。 さらに画伯にまつわる エピソードや参考資料も。 「売らざる書」と呼ばれていた 画伯の作品が この一冊によみがえっています。
小林会長 「元は白黒の2Lくらいの写真ですね。 それを今はスキャナーがありますので スキャナーでスキャンをして フォトショップというソフトで 色補正をしたりして 編集ソフトにかけると 素人でも作れるので それを印刷会社で印刷してもらって。 空白の期間の絵ですから できるだけ多くの人に敬三画伯が こんな絵を描いたということを 知っていただきたいということと 画伯の一生の絵の歴史を見ていく上で やはり分からない時期があるというのは 良くないんですよね。 どんなふうにして 今の浅間山を描くように こうゆうやり方を描き方を するようになったのかとかですね、 画家って迷ってた時期も 沢山あるんですね。 ですからその変遷が見られるような 生涯の絵のストーリーが分かるような つなぎをぜひ作りたいな ということで これ役立つのではないかな と思ってつくりました。」   小山敬三美術館友の会では、 この画集の発行をきっかけに 画伯の明らかとなった功績を より多くの人に 伝えていきたいとしています。
小林会長 「その方の観点によって 得るものが多いのではないかと思います。 全国的には」 小山敬三の絵を扱っていらっしゃる画商の皆さんも この絵については見たことが無い絵が たくさんあると思うのですよね。 ですからそういう方々にも こういう絵を描いていたんだ 持ち込まれた絵が 確かに画伯の絵だ ということが これで分かると思いますね。 ですからそんな使い方も あるかなと思っています。 友の会にとっては いちばん身近なところですので 見るだけでも楽しいですし そこからいろいろ学ぶこともねあります。 それはそれでプラスアルファになると思います。 表紙がですね 小山敬三には ふさわしくないのではないか という話もあるのですが、 あえてこうしたのは 小山敬三画伯が昭和の人ではなくて 今も今の時代にも きちんと生き続けられる 素晴らしい画伯なのだ とということで 今風のデザインにしたわけです。 100部限定ですので そんなに余裕はないのですけど もし興味のある方がいましたら 美術館で1冊2000円で お分けしておりますので お買い求めいただければ 楽しめると思います。」     
   
 
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