現在、日本の水道事業は、

人口減による料金収入の減少や

老朽化の進む施設の更新、

職員の人員削減にともなう技術の継承や

後継者の育成など様々な問題に直面しています。

こうした中、

小諸市では、持続可能な上水道事業をめざし

去年12月から東京に本社を置く総合水事業会社

水ing(すいんぐ)株式会社と

公民連携による水道事業運営について

共同研究を進めてきました。

 

16日(月)には、研究結果の報告会が

市民交流センター会議室で行われました。

 

会場には、

市の職員や水ing(すいんぐ)株式会社の社員、

一般の市民などおよそ70人が集まりました。

報告会では、はじめに、上水道課の職員が

今後想定される給水人口の減少による収益の減少や

施設の老朽化、必要人員の確保や職員の技術力の維持など

市の上水道事業が抱える課題について説明。

 

こうした課題への対応策の一つとして

公民連携による水道事業運営などの

研究・検討を進めていると話しました。

 

小諸市では、将来も持続可能な水道事業をめざし、

平成26年10月から、

水道事業に関連したモデル事業や共同研究など、

企業側から官民が協力して取り組める提案の

受け付けを行っています。

 

今回の共同研究は、

東京都港区に本社を置く

水ing(すいんぐ)株式会社の提案で

去年12月からおよそ10か月にわたり

行われてきたものです。

水ing(すいんぐ)株式会社は

主に上下水道施設や公害防止プラントの

総合水事業会社です。

 

平成24年には広島県企業局との共同出資で

日本初の民間主体による

水道事業運営会社を設立するなど

水道事業について先進的な取り組みを行っています。

共同研究では、日本の上水道事業における

6つの公民連携の手法について検証。

小諸市の状況にあった連携手法の

絞り込みが行われました。

 

その結果、市と民間企業の双方が出資してつくる

「公民共同企業体」による

包括委託方式か指定管理者制度が

現実的であるとされ、

これを基本として具体的な検討が行われました。

 

包括委託方式はいくつかの業務をまとめて委託する方式、

指定管理者制度は地方公共団体が指定する団体が

施設の管理を代行する制度です。

 

説明を行った職員は、

公民共同企業体による運営について、

「直接的な経費削減や費用対効果は小さいが、

職員の固定化による専門的スキルや作業効率

緊急時の対応力向上など、長期的な効果が見込まれる」と話しました。

 

また、将来的に考えられる手法として

「コンセッション方式」を紹介しました。

これは、施設の所有権は市が持ち、

利用料金の徴収や施設の設計、建設、維持、管理など

全ての事業を民間企業が運営するというものです。

導入実例がなく、未知の部分も多いことから

まだまだ導入には高いハードルがありますが、

事業、人員、採算性において

最も効率的な運営が可能だということです。

 

小諸市では、今後も引き続き、

公民共同企業体による運営について研究を進め、

将来も持続可能な水道事業のあり方を

模索していきたいとしています。